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作:9-821さん 「里香がもしウェディングドレスなんて代物を装備したら……」

「ようクソガキ」 夏目が部屋に入ってきたのは、式が始まる十分前だった。
「…っかし、お前にタキシードは恐ろしく似合ってねえな、戎崎よ?」
「ほっといてくださいよ…主役は俺じゃなくて里香なんですから」
 そりゃそうだ、と夏目は笑った。
 あんなに綺麗な里香がウェディングドレスなんてものを装備したら恐らく、兵器に近い魅力を出すだろう。
夏目は、よれよれの背広に、曲がったネクタイと、いかにも背広を着慣れない独身男性といういでたちだ。
「それより、もうちょっとましな格好できなかったんですか?」
「なに、お前にはこれで充分だ。里香には申し訳ないがな。そういえば、おい花婿、花嫁の姿、見てきたのか?」
「いいえ、まだ。披露宴で逢えるからいいかなって」
「馬鹿野郎、いいか、花嫁の衣装は花婿へのものでもあるんだぞ。花嫁の控え室に行って来い。」
夏目に背中を押され、控え室から追い出された僕は廊下で親戚の人達に挨拶しながら、花嫁の控え室の扉をノックする。
「はい」
と中から声がする。里香だ。
「オレだけど、入っていい?」
「あ、裕一、いいよ」
前を見ないように、俯いて扉を開ける。そして顔をあげる。
そこには女神が座っていた。白いウェディングドレスは緩やかなカーブを描き、床まで届いている。薄いベールが顔を
覆っているが、里香の美しさを隠すには至らない。いや、逆に乙女の恥じらいと言うか、奥ゆかしさをかもしだしており、
里香の美しさを引き立てている。手には黄色い花をモチーフにしたブーケを持っているのが、愛らしい。
里香の姿に感動して固まってしまった僕に里香が、
「なに?」
と問いかけてくる。
「・・・綺麗だ。」
と何の捻りも無い言葉が自然と口からこぼれ出ていた。
里香のベール越しの顔がすこし桜色めいたように見えたが、
「なによ、恥ずかしいじゃない、バカ。」
と早速言い返される。でもいい。本当に里香は綺麗だ。
それまで同じ部屋に居ることに全く気づいてなかったが、お義母さんが里香をたしなめ、僕に言う。
「これ、里香。旦那さんに向かって。あら、裕一さん、そろそろ式の時間じゃないんですか?」
「へ、あ、そ、そうですね。じゃあ、里香、また後で」
「うん」
里香の返事を聞いて、僕は控え室を出た。

当然、式が始まって10分後に発作が

あれだな?里香のあまりの魅力に男性陣の股間が発作を起こすんだろ?


「里香!」

それは突然のことだった。彼女がその表情をゆがめるのと、体の力が抜けるのと
長椅子に座ったまま、ほかにすることもなかった。
「大丈夫ですよ、こんな幸せなときに」と、お母さんが
僕は里香を失いたくなかった。僕たちはまだ、やっと花見に行っただけで、まだ海だって
「大丈夫、私は大丈夫だから」
だが、里香の様子は明らかにおかしい。
里香を抱きしめていた僕だったが、夏目が横から割って入った。
「どけ。邪魔だ。」そういうと里香の脈拍をとり、瞳孔反射を確かめ、
「救急車を呼んでくれ。」
と式場のスタッフに言った。
「里香!里香!」
「大丈夫、私なら大丈夫」
そう呟く里香の声がだんだん小さくなっていく。
披露宴の会場内は騒然となった。
やがて大広間の扉から救急隊員がキャスターを押しながら入ってくる。
ゆっくりと里香を乗せ、会場からでていこうとする。
「戎崎、お前も来い。」
夏目がいった。
「お前の女房だろう。だったらついてこい」
「はい」
僕は駆け出し、里香の手を握りながら走った。
「大丈夫、大丈夫」
里香がうわごとのように繰り返している。
「わかってる。わかってるよ。」
僕はそういうしか言えなかった。

 里香が搬送されてからすでに、何時間たっただろう。手術中の灯りはまだ消える気配を見せない。
「……里香」
「大丈夫ですよ、裕一さん…あの子は簡単には負けませんよ」
 そういうお義母さんの肩は、小刻みに震えていた。そうだ、僕が里香を信じてやらなきゃいけないんだ。
里香は大丈夫って言っていた。なら、それを信じてやろう…。
 プツン、と音を立ててランプが消えた。心底くたびれた顔の夏目が出てくる。
「あの…夏目先生、里香は…?」

「ん?ああ、別に大した発作じゃねえよ。命に別状はない」
「…ならなんでこんな時間かかったんですか?」
 大したことないなら、鎮静剤の投与で事足りるはずだ。なのに、なんでこんなに…?
「発作は大したことない、が…別に大したことがあるってわかっちまってな…」
 まさか心臓以外にも病が発見されたのでは、と僕は不安になった。
「里香な…妊娠してんぞ?もうすぐ二ヶ月ってとこだな」
 …はい?
「今回のは胎児がいる状態に慣れてなかったから起きた発作だ。精々大切にするんだな」
 …里香が、妊娠?確かに初めての時は付けなかったけど、マジかよ…。
「…裕一さん?」
 ああ、お義母さんがスッゴい笑顔で僕を見てる…なんか後ろに黒いオーラが見えるのは気のせいだと、思いたい…。

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なんか、お義母さん怖いですね。

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